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特殊神事?

2021年3月16日

とある工場の敷地の一角に「○○の墓」と書かれた小さな石碑がありました。関係者から「何のお墓か分かりません。また、誰が作ったのかも分かりません。整備をするので撤去しなくてはならないのだが、このまま工事する訳には行かないので、撤去にあたり祝詞をあげてほしい」という依頼があり、出向してまいりました。

猫なのか、犬なのか。鳥?まあ、人ではないでしょうが、対象が何なのかが分からない状態で祝詞を作成せねばなりません。お寺さんに依頼すべきか?とも考えましたが、神道でもお葬式や慰霊祭を致しますので、神式で行う事にしました。また、墓碑だけなのか、その下に何かが埋められているのか?

手探りの状態で「どの様な祝詞を作成すべきか?」と色々考えました。この様な神事は特殊で、滅多にございません。参考書などもありませんから、神職自ら独自の祝詞を作文しなくてはならないのです。こんな時に役に立つのが「場数」(ばかず)です。今までの経験を生かし、似たような事例を思い出して、組み立て行きます。参列者にちゃんと伝わる祝詞が書けたかどうか分かりませんが、やるだけの事はして本日を終えました。わたしの「場数」がまた一つ増えました。

どんな職業でも当てはまるのではないでしょうか。この「場数」。経験を積めば積むほど技術と視野が広がります。まだまだ、経験値を積み上げていかねばならないと思う今日この頃であります。


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